トランクルームの盗難|盗まれたときの責任と、借りる前に分かる防犯の範囲

天井の隅に設置されたドーム型防犯カメラ(AI生成イメージ)

「トランクルームに預けた荷物が盗まれたらどうなるのか」。調べると「セキュリティがしっかりした施設を選びましょう」という話ばかりで、どのサービスに何が付いているのか、盗まれたら誰の責任になるのかは出てきません。

この記事では、各サービスが公開している契約約款で盗難時の責任がどう決まっているかを条文で確かめ、物件ページに防犯設備がどれだけ書いてあるかを東京23区の全物件で数えました(2026年9月10日時点)。

結論

部屋を借りるタイプは、盗まれても会社は責任を負いません。ハローストレージの約款は「収納物を預かるものでも保管するものでもない」と定め、盗難を免責事由として明記しています。加瀬のレンタルボックスも同じです。

防犯設備は、借りる前に物件ページで確かめられるとは限りません。ハローストレージの東京23区262物件を全部見たところ、防犯設備を具体的に書いた物件は0件でした。書いてあるのは「セキュリティ面でも安心」という言葉だけです。

逆に宅配型は、荷物を預かる契約です。minikuraの規約は「注意を怠らなかったことを証明しない限り賠償の責任を負う」と定めていて、証明するのは会社の側です。免責の一覧に盗難は入っていません。盗まれることが心配なら、防犯設備ではなく契約の型で選ぶのが確実です。

目次

部屋タイプは盗まれても会社の責任にならない

最初に、いちばん知りたいところから。盗まれたとき、誰の責任になるのか。答えは約款に書いてあります。

ハローストレージのレンタルボックス使用契約約款(2021年7月1日版)は、第3条でこう定めています。「いかなる意味においても、当社が契約者より収納物を預かるものでも、契約者の収納物を保管するものでもありません」。続けて「収納物の管理責任者及び直接占有者は契約者ご自身となります」。

つまり、場所を貸しているだけで、荷物は預かっていない。同じ約款の第17条は会社が責任を負わない事由を並べていて、その2番目に「戦争、内乱、労働争議、盗難、第三者の不法行為」とあります。盗難は名指しで免責されています。

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サービス盗難の扱い条文
ハローストレージ免責事由に明記。荷物を預かる契約ではない約款 第17条②・第3条
加瀬のレンタルボックス(屋内型)「第三者より受けた、盗難・事故による損傷又は損害」は賠償を請求できない約款 第12条1項(3)
加瀬のレンタルボックス(屋外型)収納品の紛失・滅失・損傷について一切の損害につき責任を負わない。列挙に「強盗、盗難」約款 第7条1項
加瀬のレンタルボックス(バイク)「駐車場内でのバイクの盗難・事故による損害…甲はその一切の責めを負わない」約款 第10条1項
各サービスが公開している契約約款より(2026年9月10日確認)。ハローストレージは2021年7月1日版、加瀬は2025年12月1日版。

ハローストレージには責任の上限額もあります。会社に過失があった場合でも、賠償は「30万円又は月額使用料の12ヶ月分のいずれか高い金額」まで(第16条・重過失を除く)。月額8,000円の部屋なら12ヶ月分は96,000円なので、上限は300,000円です。ただし盗難はそもそも免責なので、この上限に届く前の話になります。

だから部屋タイプで盗難に備える手段は、保険だけです。サービスが用意する補償の上限と対象は、別記事で9サービスぶん並べています。

地震で壊れた荷物も同じ建て付けで、当サイトが確認した4サービスの約款は宅配型を含めて地震を免責しています。物件の地盤で選ぶ手順は別記事にまとめています。

宅配型は預かる契約で、免責の一覧に盗難が入っていない

宅配型は法律上の立場が違います。minikuraは寺田倉庫、サマリーポケットはサマリーが、倉庫業者として荷物を寄託される契約です。規約の形も倉庫の約款に近く、会社が責任を負う条件が先に書いてあります。

免責の一覧を見ると、部屋タイプとの違いがはっきりします。minikura(保管規約第33条)もサマリーポケット(利用規約第43条)も、免責に並ぶのは「戦争、事変、暴動、強盗または同盟罷業」で、「盗難」という語は入っていません。力ずくで奪われる強盗は免責でも、倉庫から荷物が無くなる盗難は免責に含まれていない、という建て付けです。

minikuraとサマリーポケットでは、証明する側が逆になる

minikuraとサマリーポケットは、誰が何を証明するかが逆向きです。

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サービス会社が賠償の責任を負う条件証明するのは条文
minikuraサービスが「保管または荷役に関し注意を怠らなかったことを証明しない限り」責任を負うサービス保管規約 第31条
サマリーポケットサービスの「故意又は重大な過失」によって生じた場合に限る。請求する人が故意・重過失を「証明しなければなりません」利用者利用規約 第41条
各サービスの規約より(2026年9月10日確認)。minikuraは2026年4月6日改定版、サマリーポケットはWeb規約。

minikuraは、荷物が無くなったら会社の側が「落ち度は無かった」と証明しなければなりません。サマリーポケットは、利用者の側が「サービスに故意か重大な過失があった」と証明しなければならず、しかも軽い過失では対象になりません。盗難のように原因が外から分かりにくい事故ほど、この差は大きく効きます。

いくら戻るかは、どちらも標準で1箱1万円までです(補償記事)。この節で違うのは金額ではなく、責任を取る条件のほうです。

2サービスの料金と取り出しの条件は、比較記事でまとめています。

【実測】ハローストレージの物件ページに防犯設備の記載は無い

次に、借りる前に防犯設備が分かるのか。ハローストレージの東京23区の全物件ページを見ました。母集団は公式サイトマップにある329件で、掲載中の262件を取得しています(掲載終了67件。屋外型140件・屋内型116件)。

物件ページには設備を示すバッジがあります。262件に出てきたバッジは、次の4種類だけでした。

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設備バッジ件数割合
空調有83件32%
エレベーター有49件19%
断熱材45件17%
駐車場有37件14%
当サイトの実測(2026年9月10日)。ハローストレージ東京23区の掲載中262物件の物件ページにある設備バッジを数えました。

防犯に関するバッジは0種類です。監視カメラの有無も、警備会社との契約も、入館の方式も、バッジにはありません。

「セキュリティ」の言葉はあるが、設備は書いていない

バッジに無いだけで本文に書いてあるかもしれないので、ページ全文で防犯に関する語(防犯・カメラ・監視・セキュリティ・警備・入退室・施錠)も探しました。62件に「セキュリティ」の語がありました。そこで1件ずつ中身を読みました。

62件の中身は、次のどれかでした。

  • 「屋内型でセキュリティ面でも安心なため」
  • 「空調・セキュリティ完備の安心環境」「屋内型(空調完備・セキュリティ重視)」
  • 「安心のセキュリティ体制で大切なお荷物をしっかりとお守りいたします」

すべて形容で、設備の中身はありません。カメラの台数も、警備会社の名前も、施錠の方式も、62件のどこにも書いていません。62件のうち61件が屋内型で、屋内型116件の53%にこの言葉が付いています。

具体的なことを書いていた物件は2件だけで、そのうち1件はこうでした。「物件入口のアコーディオンドアは、18:00〜翌6:00の間はセキュリティ・防犯のため手動での開閉をお願いしております(使用後は必ずお閉めください。鍵はかかっておりません)」(港区白金2)。具体的に書いてある数少ない1件が、施錠されていないという情報でした。

公式のよくある質問にも、防犯・監視カメラ・警備の項目はありません。あるのは入退室のICカードと、カードを持たずに行ったときの緊急出動費3,300円です。鍵まわりの費用は別記事でサービスごとに比べています。

これはハローストレージが特別に不親切という話ではありません。スペースプラスの公式サイトも屋内型について「セキュリティ完備!」とあるだけで、設備の中身は書いていません。当サイトが確認した範囲では、物件ごとの防犯設備を公開しているサービスのほうが少数です。

キュラーズだけが防犯設備を借りる前に確かめられる

当サイトが確認した中で、設備を具体的に公開しているのはキュラーズです。公式サイトの「トランクルームの盗難対策」ページに、次の項目が明記されています。

キュラーズが公式に明記している防犯設備です。

  • 「日中はスタッフが常駐しており、館内を巡回」
  • 「セキュリティカードをかざして入館」「エレベーターはご利用階のみに止まるよう限定」
  • 「全館をセキュリティカメラで24時間監視」
  • 「お客様ごとに独自の強固な南京錠を用意」
  • 「ALSOK(総合警備保障)と提携」「全国に約2,300か所以上の待機所」

借りる前に、何が付いているかを読めるのはここだけでした。スタッフの常駐は日中に限られる点も含めて、公式が書いています。

ただし補償の上限は非公開です。「盗難保険と火災保険に加入」「加入料は一切かからず、キュラーズが負担」とありますが、いくらまで戻るかは書かれていません。設備は分かるが金額は分からない、という会社です。

キュラーズの料金の構造と、月額の高さをどこで取り返せるかは評判記事にまとめています。

盗難への備えは、契約の型・補償・預ける物の3つで決める

「防犯のしっかりした物件を選ぶ」という方法は、公開情報ではほぼ実行できません。物件ページに設備が書いていないからです。できることは3つです。

STEP
預かる契約かどうかで選ぶ

部屋タイプは場所を貸す契約で、盗難は免責です。宅配型は荷物を預かる契約で、免責の一覧に盗難はありません。minikuraは会社の側が無過失を証明しない限り責任を負います。段ボールに入る荷物で、盗まれることが心配なら、まずここで分かれます。

STEP
補償の上限と対象を確かめる

部屋タイプで盗難に備える手段は保険だけです。ハローストレージは安心保証パックで上限が50万円まで上がり、対象に盗難が入っています。金額と対象の一覧は補償の記事に9サービスぶんあります。

STEP
上限を超える物は預けない

現金・貴金属・美術品は、そもそも各サービスが収納を禁止しています。禁止品は補償の免責事由でもあるので、盗まれても戻りません。サービスごとの禁止品は別記事で並べています。

3つめの「預けない物」は、サービスごとに一覧が公開されています。

段ボールに入る荷物で、盗まれることを心配しているなら、宅配型のminikuraが答えになります。預かる契約で、免責に盗難が無く、無過失を証明する側が会社です。初期費用と預け入れの送料は0円です。

minikura(ミニクラ)公式サイトのトップページ
出典: minikura 公式サイト(2026年8月18日時点)

minikuraは倉庫業者が荷物を寄託される契約です。規約第31条で「注意を怠らなかったことを証明しない限り賠償の責任を負う」と定めています。

初期費用・BOX送料・預け入れ送料は0円。箱が届いてから詰めればOKです。

箱に入らない荷物で、防犯設備を自分の目で確かめてから借りたいなら、キュラーズです。当サイトが確認した中で、スタッフの常駐・24時間のカメラ・警備会社との提携を公式に書いているサービスはここだけでした。補償の上限は非公開なので、そこは承知のうえで選んでください。

キュラーズ公式サイトのトップページ
出典: キュラーズ 公式サイト(2026年8月18日時点)

キュラーズは日中のスタッフ常駐と、全館のカメラ監視、ALSOKとの提携を公式に明記しています。

事務手数料・保証金・管理費・解約費は0円。実費はセキュリティカード代2,970円(税込)のみです。

よくある質問

トランクルームで荷物が盗まれたら、サービスは弁償してくれますか?

部屋を借りるタイプでは、約款で盗難が免責されています。ハローストレージは第17条で「盗難、第三者の不法行為」を免責事由に挙げ、加瀬のレンタルボックスも屋内・屋外・バイクの3種類の約款で盗難を免責しています。戻るとすれば保険からで、その上限と対象はサービスごとに違います(2026年9月10日確認)。

宅配型なら盗まれても戻りますか?

規約の建て付けが部屋タイプと違います。minikuraは保管規約第31条で、サービスが「注意を怠らなかったことを証明しない限り」賠償の責任を負うと定めています。サマリーポケットは利用規約第41条で、会社の故意または重大な過失の場合に限り、それを利用者が証明する必要があります。どちらも免責の一覧に「盗難」の語はありません。戻る金額は標準で1箱1万円までです。

監視カメラがある物件を選ぶには、どこを見ればいいですか?

ハローストレージの東京23区262物件を見た範囲では、物件ページに防犯設備の記載はありませんでした。設備バッジは空調・エレベーター・断熱材・駐車場の4種類だけで、「セキュリティ面でも安心」といった言葉はあっても設備の中身は書かれていません。当サイトが確認した中で公式に設備を明記しているのはキュラーズです。それ以外は内覧で自分の目で確かめるしかありません。

屋内型なら屋外型より安全ですか?

公開情報からは判断できません。ハローストレージの物件ページで「セキュリティ」の語が付いていたのは屋内型116件のうち61件でしたが、いずれも形容で設備の記載ではありませんでした。具体的に書いてあった1件は「鍵はかかっておりません」という夜間の入口の案内でした。屋内か屋外かではなく、その物件に何が付いているかを確かめてください。

会社の責任には上限がありますか?

ハローストレージは約款第16条で、会社に過失があった場合の賠償を「30万円又は月額使用料の12ヶ月分のいずれか高い金額」までとしています。月額8,000円の部屋なら300,000円です。ただし盗難は第17条で免責なので、この上限に届く前に責任の対象から外れています。

盗まれて困る物は預けないほうがいいですか?

現金・貴金属・美術品・骨董品は、当サイトが確認した各サービスの禁止収納物に入っています。禁止品は補償の免責事由でもあるので、預けること自体が規約違反になり、盗まれても戻りません。上限に収まらない物は手元に置くか、専門の保管サービスを検討してください。

まとめ

盗難への備えは、防犯設備で選ぶのではなく、契約の型で選びます。

部屋タイプの責任

ハローストレージも加瀬も、約款で盗難を免責しています。荷物を預かる契約ではなく、占有者は契約者本人です。備えは保険だけです。

宅配型の責任

免責の一覧に盗難はありません。minikuraは会社の側が無過失を証明する建て付け、サマリーポケットは利用者が故意・重過失を証明する建て付けです。

借りる前に分かる防犯設備

ハローストレージ23区262件で、設備の記載は0件。当サイトが確認した中で公式に明記しているのはキュラーズだけです(補償の上限は非公開)。

できること

①預かる契約(宅配型)を選ぶ ②補償の上限と対象を確かめる ③上限を超える物は預けない。

本記事の条文は各サービスが公開している契約約款・利用規約から2026年9月10日に確認し、物件ページの実測も同日に行いました。約款は改定され、物件ページも更新されるため、契約前に最新の内容をご確認ください。

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この記事を書いた人

倉持 収のアバター 倉持 収 トランクルームガイド 運営者

トランクルームガイド運営者。自分の趣味の道具が部屋を占領したことをきっかけに外部の保管サービスを調べ始め、各社の初期費用・管理費・更新料・解約条件を公式サイトから1社ずつ表にまとめ直したのがこのサイトの始まりです。掲載する料金と契約条件はすべて各社の公式サイトを一次情報として確認し、記事に確認日を明記しています。使っていないサービスを使ったようには書きません。デメリットも省略せず、報酬額で順位を変えることもしません。

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