楽しいシーズンが終わり、泥だらけの板とブーツが玄関を占領していませんか? 「とりあえず物置へ」「ケースに入れたまま部屋の隅へ」という保管は危険です。次の冬、ケースを開けたらエッジは赤サビだらけで、ビンディングのプラスチック部分はボロボロに砕けていた(加水分解)という悲劇が起こります。
この記事では、スノボ・スキー板を物理的に置く場所がない方に向けた「外部保管サービス(宅配型・トランクルーム・専門店)」の料金と特徴を徹底比較します。
あなたの道具を守り、来シーズンも最高の滑りをするための「置き場所の正解」を提示します。
スノボ・スキー板を劣化させる「3つのNG保管場所」
サービスを選ぶ前に、なぜ「そこら辺に置いてはいけないのか」、物理的な劣化原因を知っておく必要があります。
① 夏場の「車の中」
絶対にNGです。 夏場の車内温度は70度を超えます。スノーボードのソール(滑走面)は接着剤で貼り付けられているため、高温になると「剥離(はくり)」したり、芯材が熱で変形して板が「ねじれ」たりします。一度熱で歪んだ板は、二度と元に戻りません。
② 湿気の多い「屋外物置・屋根裏」
エッジ(金属)の天敵は湿気です。 日本の夏は湿度が高く、換気のない物置や屋根裏はサビの温床です。エッジが深くまでサビると、チューンナップ(研磨)でも修復不可能になり、氷の上で止まれなくなります。 また、ブーツやウェアにカビが生える原因にもなります。
③ 直射日光の当たる「ベランダ」
紫外線は、トップシート(板の表面)の色褪せだけでなく、ビンディングの樹脂パーツを劣化させます。プラスチックが硬化して脆くなり、滑走中に割れる危険性があります。
保管サービス3選!料金と特徴の比較
「場所がない」「適切な環境がない」という問題を解決するサービスは主に3つです。
① 宅配型収納(サマリーポケット等)
- 向いている人: 板とブーツだけを安く預けたい人。
- 仕組み: 専用カバーに入れて宅配便で送る。
- 料金相場: 月額700円〜800円(スキー・スノボ専用プラン)。
- メリット:
- 温度・湿度が管理された倉庫で保管されるため、サビや劣化のリスクが低い。
- 自宅まで集荷に来てくれる。
- デメリット: 取り出しに送料がかかる。メンテナンス(ワックス等)は自分でやってから送る必要がある。
② チューンナップ専門店の保管サービス
- 向いている人: 上級者、高級ボード所有者。
- 仕組み: シーズンオフの「メンテナンス(研磨・ワックス)」と「保管」がセットになったサービス。
- 料金相場: 年間10,000円〜15,000円(メンテ代込み)。
- メリット: プロがメンテして保管してくれるため、ベストコンディションで戻ってくる。
- デメリット: 料金が高い。
③ 屋外型コンテナ(ハローストレージ等)
- 向いている人: スノボ以外に、タイヤやキャンプ用品も預けたい人。
- 仕組み: コンテナを借りて自分で詰め込む。
- 料金相場: 月額8,000円〜(1.5畳)。
- メリット: 収納力が高い。
- デメリット:「湿気・熱」のリスクがある。
- コンテナを利用する場合は、必ず除湿剤を大量に置き、板には厚めにワックスを塗って空気を遮断するなどの厳重な対策が必須です。何もしないとサビます。
【損益分岐点】レンタルとマイボード、どっちが得?
「保管料を払うくらいなら、レンタルでいいのでは?」という疑問に、数字で答えます。
シミュレーション:年3回滑りに行く場合
- レンタル派:
- レンタル料(板+ブーツ):5,000円 × 3回 = 15,000円
- デメリット: 毎回ボロボロの板で、上達が遅くなる。いちいちサイズ合わせの手間がある。
- マイボード + 宅配保管派:
- 保管料:月700円 × 8ヶ月(オフシーズン) = 5,600円
- 結論: 年に2〜3回以上行くなら、マイボードを持って預けた方が、年間1万円近く安上がりになります。
まとめ:道具の寿命は「夏」の過ごし方で決まる
スノーボードやスキー板は「冬」の道具ですが、その寿命を決めるのは「夏」の保管環境です。
- 板とブーツだけ預けたい人:
- 「宅配型収納」がコスパ最強です。月数百円で、最適な空調環境を買えます。
- タイヤやキャンプ用品もまとめて片付けたい人:
- 「屋外型コンテナ」が便利ですが、サビ対策(ワックス厚塗り・除湿剤)は徹底してください。
- メンテナンスも丸投げしたい上級者:
- 「専門店の保管パック」を利用してください。
場所がないからと劣悪な環境に放置して、数万円の道具をダメにする前に、適切なサービスへ退避させましょう。
スノボ・スキー板保管に関するよくある質問(FAQ)
Q1. 宅配型収納に預ける時、ケースは必要ですか?
必要ありません(サービスによります)。 多くの宅配型収納(サマリーポケット等)では、申し込み後に専用の不織布カバーやボックスが送られてきます。それに板とブーツを入れて集荷業者に渡すだけなので、自前のハードケース等は不要です(逆にハードケースごとは預かれない場合があります)。
Q2. 預ける前にワックスは剥がすべきですか?
剥がさないでください(塗りっぱなし推奨)。 保管中は、滑走面の酸化を防ぐために「ベースワックス」を厚めに塗り、剥がさずに(スクレーピングせずに)そのまま保管するのがプロの鉄則です。空気を遮断することで、ソールの劣化を防ぎます。
Q3. ビンディングは付けたままでいいですか?
ネジを緩めるか、取り外すことを推奨します。 ビンディングをきつく締めたまま長期間保管すると、ネジ穴周辺に常に負荷がかかり、板が変形したり、ネジ穴が盛り上がったりする原因になります。特に宅配型で送る際は、突起物を減らすためにも外しておくと安全です。
Q4. ブーツのインナーは入れたままでいいですか?
必ず乾燥させてください。 春スキーの後はブーツ内部が汗や雪で湿っています。そのまま預けるとカビだらけになります。インナー(内側の靴)を取り出し、完全に乾燥させてから預けてください。中に乾燥剤(シリカゲル)を入れておくとより安心です。